烏賊が居る
2008年 10月 04日
バイトから帰ったら、家に烏賊が居た。
嘘のようなほんとの話。
ちゃぽん、ちゃぽんと音がする。枕よりも少し大きい位のビニールのチューブ、三分の一程度入れられた水の中で、ちゃぽん、ちゃぽんと動いている。
白いビニールの手提げに敷き詰められた保冷剤の上に烏賊は居る。
父の転勤送別会場の飲み屋。烏賊のチューブがいくつも置かれていたそうで、面白がった同僚に戯れにねだってみたら買ってくれたと言っていた。およそ4000円の、烏賊。
ストレスに弱いから朝までに死ぬかも、電車の揺れの作用次第。
明日は透明ないか刺しが喰えるぞ、と父は言う。
透けて脈打つ、烏賊の心臓。ビニールチューブの中に、烏賊はじっと居る。
いつ頃揚がったのだろうか。昨日か一昨日、酸素と水を詰めた袋に一匹づつに分けられて、何にも食べずにここまできた。
5分か10分はしんとたゆたっている。しばらくすると、ちゃぽん、ちゃぽん。
昨日か一昨日から、ずっと。
その繰り返し。くりかえし。
確かに興をそそられた。
帰ってからしばらくは烏賊を見ていた。烏賊が水を吐いて推進する音が響く。チューブの端にぶつかるので、実際はただゆらゆら縦に揺れているだけだ。
薄暗いリビングで、しゃがんで烏賊を見ている。だんだんかなしくなって、泣けてきた。
うちには今、烏賊が居る。
嘘のようなほんとの話。
ちゃぽん、ちゃぽんと音がする。枕よりも少し大きい位のビニールのチューブ、三分の一程度入れられた水の中で、ちゃぽん、ちゃぽんと動いている。
白いビニールの手提げに敷き詰められた保冷剤の上に烏賊は居る。
父の転勤送別会場の飲み屋。烏賊のチューブがいくつも置かれていたそうで、面白がった同僚に戯れにねだってみたら買ってくれたと言っていた。およそ4000円の、烏賊。
ストレスに弱いから朝までに死ぬかも、電車の揺れの作用次第。
明日は透明ないか刺しが喰えるぞ、と父は言う。
透けて脈打つ、烏賊の心臓。ビニールチューブの中に、烏賊はじっと居る。
いつ頃揚がったのだろうか。昨日か一昨日、酸素と水を詰めた袋に一匹づつに分けられて、何にも食べずにここまできた。
5分か10分はしんとたゆたっている。しばらくすると、ちゃぽん、ちゃぽん。
昨日か一昨日から、ずっと。
その繰り返し。くりかえし。
確かに興をそそられた。
帰ってからしばらくは烏賊を見ていた。烏賊が水を吐いて推進する音が響く。チューブの端にぶつかるので、実際はただゆらゆら縦に揺れているだけだ。
薄暗いリビングで、しゃがんで烏賊を見ている。だんだんかなしくなって、泣けてきた。
うちには今、烏賊が居る。
by ktblue-black
| 2008-10-04 01:31
| 思考の迷走